「おもてなし」の日本文化誌―ホテル・旅館の歴史に学ぶ

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「おもてなし」の日本文化誌―ホテル・旅館の歴史に学ぶ

  • 富田 昭次【著】
  • 価格 ¥2,200(本体¥2,000)
  • 青弓社(2017/05発売)
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  • サイズ B6判/ページ数 283p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784787234162
  • NDC分類 689.21
  • Cコード C0036

出版社内容情報

もてなしとは「客人の快適性を確保し、満足度を高めるために、どう努めるのか」だ。



2016年の訪日外客数が2,400万人を超えた。さらに、東京オリンピック・パラリンピックの開催もひかえて訪日客数も急増する見込みで、「おもてなし」に注目が集まっている。



ホテルや旅館が「おもてなしの最前線」だ。近代から150年間、目配りのこまやかさで客人をもてなしてきたホテルの源には、「どんなサービスが大切か、それは人それぞれ」という、過剰ではないサービスの精神がある。



ホテル業界の専門誌で健筆をふるう著者が、ホテルに関する逸話を集め、「おもてなし」という観点から新聞や雑誌、テレビなどの報道や海外の事例も読み込み、所蔵する図版を示しながら、「おもてなし」文化の成り立ちや幅広さを描く。

はじめに――近代のおもてなし事始め

 こんなところにホテルが建つのだろうか/「働く人たちの心が明確に存在している」/業界が協力して取り組んだサミットでの接遇/幕末に見られた一億五千万円の大饗宴/江戸前の味はアメリカ人には淡泊すぎた?/財政難のなか、国賓第一号のエジンバラ公を接遇/西洋的な宮殿だったら、がっかりしただろう/延遼館で過ごした穏やかな日々/国家建設の成果を示した延遼館と宴会マニュアル/東京府知事主催の華麗なる夜会



第1話 創業以来の社是「至誠」のおもてなし

 ホテルは国家的事業であり、国民外交である/繁盛するは、サービスにあり/近代日本を「建設」する時代に創業/「時に客引となり、料理人となり、給仕人となり」/客に不愉快な思いをさせない段取り/毅然とした態度がホテルの評判と信用を高めた



第2話 和の意匠でお出迎え

 ホテルオークラ本館改築報道の衝撃/平家納経の感覚を再現せよ/欧米の模倣を避けるべし/花御殿は和風ホテルの頂点をなす作品/日本人にも居心地がいい花御殿



第3話 送迎と遊覧案内も腕の見せどころ

 一九六〇年代はハイヤー部が活躍/格式を表した特別仕立ての馬車/顧客の不満から生まれた自動車会社/ヘンリー・フォードの便宜を受けて/欧米にも見られないガイド嬢の活躍



第4話 旅館のくつろぎをホテルに盛り込む

 わずか九室の和ホテルが開業、その特色とは/外国へ見学に行くのは間違いだ/旅客にも経営者にも便利な和洋室



第5話 サービス料制度が生まれたもう一つの理由

 チップを出す人が減っている/チップの有無や多寡で接遇を変えてはならない/サービス料制度導入の経緯とは/戦前にも実施されていたサービス料制度/ロンドンにあったノー・チップ制のホテル/英文でサービス料を説明する日本のホテル/民主主義の世の中だからチップを廃止に/煩わしい存在だった茶代/かつての旅館には明確な宿泊料制度がなかった/茶代に悩まされた「坊っちゃん」/満州の経営者が提言した茶代の全廃/茶代と心付け、それぞれをいくらにするか/好評だった茶代不要のクーポン券



第6話 外国人旅行者が惚れ込んだ日本のホテル

 台湾人に注目された東急ホテルの成功/明治初期の有名ホテルが見物の対象になっていた/客の心のなかの望みをかなえてくれる給仕たち/不自由さを感じさせるほどの美しい部屋/こちらにも女性従業員に注目する人たちが/京都のホテルで最高の支配人/ホテル不足を嘆く日本人女性/ホテルは最も満足すべきもの/議論の余地なくスエズ以東で最高/盲導犬同伴の青年を喜ばせた現場の判断/商売気を離れたシノさんの誠意



第7話 外国人は旅館に何を感じ、何を求めたか

 イギリス人女性が見た明治・日本の本当の姿/宿の多くは「驚くばかりにすばらしかった」/旅館の利用法を教えたチェンバレンの旅行案内/割高な宿泊費に憤慨したイギリス人/悪臭や騒音などに苦しんだ外国人/風呂番にチップを与えていた日本スキーの父/アメリカ人一行百余人、日本を体験す/朝食だけは西洋式を望みたい/外国人を応接するときはこうしよう/一軒の旅館から日本の歴史を読み解いたアメリカ人



第8話 渋沢栄一が残した言葉

 帝国ホテルは私設外務省/外客を積極的に誘致するという発想/ズボンは必ず“寝押し”をせよ/日本への理解を促進させた「ツーリスト・ライブラリー」



第9話 コンシェルジュの組織力を支えるもの

 始まりはネットワーク作り/敬意を得るまでに至った職種/“法王に次ぐローマで最も有力な男”/コンシェルジュの認知度が低かった日本では……/私たちは外交官であるという誇り



第10話 日本には和服姿の“天使”がいた

 心を和ませる金銀の折り鶴/六十年近く勤続できた秘訣/入り口には和服姿のグリーターが/紫の振り袖姿で蝶のように舞う/行儀見習いや花嫁修業の場に/最初の受け答えでわかる良し悪し/旅館の女中に不満を抱いていた谷崎潤一郎/情報通のコンシェルジュのような女中



第11話 自然を心から賛美する

 自然に埋もれた静寂感/「読書するためのホテル」とは/国際村が長続きする秘密/孤立した場所そのものが魅力



第12話 厨房という小宇宙の内と外で

 「料理人はお客さまと親密になれ」/利用者の満足度を高めたワイルの革命/厨房の環境を快適にすると……/厨房軽視に警鐘を鳴らした設計の専門家



第13話 約束事を理解してもらうために

 着席順位の札から始まったエチケット/ユニークな「あなた様は只今どちら?」カード/チェンバー・メイドと部屋女中/深夜の靴磨き、そして前金での支払い/客に恥をかかせないのもおもてなし



第14話 おもてなしの担い手を育てる

 原点は宗教的な慈悲の精神から生まれた宿泊施設/「仏作って魂入れず」を改善するために/レストランに鬼面のような謎の彫刻が/ホテルと旅館が一緒に発展するために/「卒業生が飛ぶように売れる私立学校」/外国人はホテル従業員を通じて日本を知る



第15話 あの人が愛用した理由とは

 莫大なツケをホテル経営者が帳消しに/休憩用の椅子を廊下に配置/川端康成が発見したホテルの精神/「なつかしい日本の静かさがある」/「私が松竹の担当」と公言した女中のおゆうさん/作家のためにパンを神戸から仕入れた温泉宿/「随分粗末な所だが」、「絶佳の環境」 / 貧乏学生から一流の文化人まで



第16話 知恵と工夫を結集させて――「西の迎賓館ホテル」誕生秘話

 大阪を牽引する人々が発案/初めての客室冷房設備が評判に/静かなホテルへのこだわり/従業員に特別の愛情を抱いた支配人



第17話 名ホテリエ、それぞれの流儀

 戦勝国の元帥もただの宿泊客/「太平洋の橋」となるつもりで/ミスター・シェイクハンドの誕生/もう一歩近づくための握手/ホテルに住み込む総支配人/従業員の意識を高めるヴィジブル・マネジャー/全ヒルトンの基本になった最初の訓示/金儲けのためにやろうという発想は間違いだ/チームワークを緊密にするために/上野駅前で客引きを経験して/「素人っぽい処が実にいい」/広告から読み取れるホテル哲学/豪華な誕生日パーティーの裏で



第18話 職人としての「酒の番人」、その心意気

 静寂を破る甲高い声を和らげた“魔法”/客に尊敬されたバーテンダー浜田晶吾/今井清はなぜマティーニに注目したのか/人の飲酒動向の全体を把握する/組織誕生の裏には危機感があった



第19話 庭園は屋根がないもう一つの客室

 荒廃した名園を復活させた経営者の才覚/支配人は庭園の守り番/庭は屋根のない部屋である/庭園旅館と銘打っていた老舗/庭が旅館の中心だった/心に何かを訴えかけてくる庭の石/庭園文化が成熟した京都で/最高の「もてなし」は美しい庭園/庭を有機的に取り込んだ建築家ライト/名人・七代目小川治兵衛の活躍



第20話 それは一つの作品から始まる

 建物に生命を吹き込む芸術作品/世界の優秀作品でおもてなし/ホテルは無料の美術館/掛け軸から抽象版画へ/現代アートで埋め尽くされた客室



参考文献



おわりに――過去四半世紀の出来事を振り返って

 日本のホテルの勢力図を変えた外資系ホテル/新しい仕組みや考え方がどんどん投入された/三十年前にすでに現れていた人気格安旅館/どんなサービスが大切か、それは人それぞれ/移り行くおもてなし、変わらないおもてなし/新しい視点、社会へのおもてなし/明治期のイギリス人旅行者が下した評価/おもてなし上手、その源には何が……

富田 昭次[トミタ ショウジ]
1954年、東京都生まれ。立教大学卒業。ホテル専門誌の編集記者、編集長を経て、ホテル・旅行作家の活動に入る。著書に『ホテル百物語』『ホテル博物誌』『ホテルの社会史』、『ホテルと日本近代』(韓国で翻訳)、『旅の風俗史』(台湾で翻訳)、『絵はがきで楽しむ歴史散歩』『絵はがきで見る日本近代』(いずれも青弓社)、『サービスはホテルに学べ』『おひとりホテルの愉しみ』『東京のホテル』『「極み」のホテル』(いずれも光文社)、『キャピトル東急ホテル物語』『鯨を釣る男 天才ホテリエ マイク近藤の生涯』『最上のホテル その隠された秘密』『東京ヒルトンホテル物語』(いずれもオータパブリケイションズ)、『ノスタルジック・ホテル物語』(平凡社)、『日本ホテル協会百年の歩み』本編執筆(日本ホテル協会)、『恋愛ホテル』監修(にじゅうに)など。

内容説明

もてなしの極意は「客人の快適性を確保し、満足度を高めるために、どう努めるのか」だ。その最前線がホテルや旅館で、さまざまな知恵と工夫で内外の旅行客をもてなしてきた。近代から今日までの逸話から、もてなしの事例を多角的に集め、秘蔵の図版も示して「おもてなし」文化の成り立ちを描く。

目次

はじめに―近代のおもてなし事始め
創業以来の社是「至誠」のおもてなし
和の意匠でお出迎え
送迎と遊覧案内も腕の見せどころ
旅館のくつろぎをホテルに盛り込む
サービス料制度が生まれたもう一つの理由
外国人旅行者が惚れ込んだ日本のホテル
外国人は旅館に何を感じ、何を求めたか
渋沢栄一が残した言葉
コンシェルジュの組織力を支えるもの
日本には和服姿の“天使”がいた
自然を心から賛美する
厨房という小宇宙の内と外で
約束事を理解してもらうために
おもてなしの担い手を育てる
あの人が愛用した理由とは
知恵と工夫を結集させて―「西の迎賓館ホテル」誕生秘話
名ホテリエ、それぞれの流儀
職人としての「酒の番人」、その心意気
庭園は屋根がないもう一つの客室
それは一つの作品から始まる

著者等紹介

富田昭次[トミタショウジ]
1954年、東京都生まれ。立教大学卒業。ホテル専門誌の編集記者、編集長を経て、ホテル・旅行作家の活動に入る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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椎名千歳

2
ホテルや旅館を通して日本の文化史を見ていく本。ホテルという仕組みについて、サービスや内装、利用者、スタッフなどさなざまな視点を通して見ていくのが面白く、また興味深かった。普段あまり気にしないホテルというものについての歴史に驚く点も多かった。2017/07/06

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