内容説明
古記録を「テクスト」として考究することにより、平安朝の言説をとらえなおす。本書では、『後二条師通記』を中心に古記録を、テクスト生成、東アジア古典世界における日本漢文(学問と漢籍引用)、論理(私日記の発生、記憶と記録、語りと筆録)の三側面から論じる。「漢文」で書かれた「日次」の「記録」の論理と構造を明らかにし、時代の転換期を生きた記主師通の言説に迫る。
目次
第1部 『後二条師通記』生成論(現在;二つの本文―永保三年~応徳二年;開かれたテクスト―応徳三年~寛治四年;再び二つの本文―寛治五年;病と揺らぐテスト;受容と現存)
第2部 東アジア古典世界のなかの『後二条師通記』(師通の学習記録;日記叙述と漢籍―謝恵連「雪賦」をめぐる諸相;師通の白詩受容;寛治五年「曲水宴」関連記事における唱和記録;師通の漢籍“知”と匡房・通俊―声と文字との往還)
第3部 “古記録”の論理(私日記の発生と展開;記憶と記録―中宮賢子の死、および「永長の大田楽」をめぐって;語りと筆録―記さざる人・頼通の言説)
著者等紹介
中丸貴史[ナカマルタカフミ]
博士(日本語日本文学)。防衛大学校人文社会科学群人間文化学科准教授。1979年埼玉県川口市生。2003年学習院大学文学部日本語日本文学科卒業。2009年二松学舎大学日本漢文教育研究プログラム研究員。2010年学習院大学大学院人文科学研究科日本語日本文学専攻博士後期課程修了。2011年(大韓民国)啓明大学校人文大学日本語文学科助教授。2012年防衛大学校人文社会科学群人間文化学科講師。2015年同准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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