出版社内容情報
ショスタコーヴィチ、メイエルホリド、パステルナーク、トロツキー、日本から亡命した杉本良吉と岡田嘉子から、ひたすら権力に迎合した三文詩人、死後の美術館建設を夢見て餓死した画家まで、スターリン体制下の芸術家群像。原資料を渉猟し、知られざる諸事実を発掘した碩学畢竟の書。珍しい写真を多数掲載。極限的困難に直面した時、どう生きのびるのか、ふたたび問われる時代に。
内容説明
史上初の社会主義型実験国家の下、困難と恐怖が人間の深部をあらわにする。生存と創作の根底にあるものは何か。天職を目印に追う壮烈なスターリン期文化論。
目次
大阪から―「机の上を片づけないで下さい」(ネフスキイ)
実験国家と実験家―知の遊牧者メイエルホリド
対岸のユートピア―杉本良吉と「にわとりの足をした水晶宮」
「余所者の劇団」―権力の剣、仲間の匕首
ユートピアへの「呼び子」―火から〓(ほのお)への脱出
三の死―「相変わらず独創家ぶっているのかね」(モーロトフ)
特別列車―うわばみ権力と「われわれは皆うさぎだ」
命という重荷―「スターリンのロシヤ語は小学生なみである」(トロツキイ)
加害者にも被害者にもならない方法―オレーシャと「おせっかいな熊たち」
目盛り―極限の人びとのあたり前さについて
ある餓死者の場合―フィローノフの天職を飯のたねにしない方法
恐怖の入れ替わり―「虚構の非人間的な支配」と浄化の嵐
勝利の後で―「権力は私に手を出しません」(ショスタコーヴィチ)
断片作家―「一行も書かない日はなし」(オレーシャ)
沈黙の十字架―「自分の運命の自由な囚人」(アンドレーエフ)
「悲劇のにない手」―パステルナークと銀貨三十枚と三十コペイカ
それぞれの死―無への入場式
著者等紹介
武藤洋二[ムトウヨウジ]
1939年9月30日生まれ。大阪外国語大学ロシア語学科卒業、大阪外国語大学ヨーロッパ1講座教授をへて現在同大学名誉教授。奈良市在住。帝政ロシヤとソヴェトを拠点にして文学、芸術、権力、民衆の受難の統一体の中で人間を追っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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