出版社内容情報
ドイツの碩学のライフワーク。本巻はベーコン、ホッブズ、スピノザからロック、ヒュームまで。
内容説明
ニコラウス・クザヌスに始まり、デカルト、スピノザ、啓蒙の時代をへて、ヘーゲル、アインシュタインまで、ヨーロッパ近代全体の思想や諸科学の場や意味を辿ろうとする『認識問題』全4巻は、その大胆かつ詳細きわまる試みによって、20世紀思想史上に屹立している。それは、ドイツの碩学カッシーラーの、まさしくライフワークであった。原書第2巻の前半部をなす本書は、フランシス・ベーコンについての考察から始まる。全体の構成は「経験主義の起源」「合理主義の発展と完成」「経験主義の体系における認識問題」の三部から成り、ベーコンを筆頭に、ガッサンディ/ホッブズ/スピノザ/ライプニッツ/チルンハウス/チャーベリーのハーバート/ディグビー/カドワース/ロック/バークリー/コリアー/ヒュームの各思想家が扱われる。そして、ニュートンからカントにいたる後半部に引き継がれるのである。
目次
第4部 経験主義の起源(ベーコン;ガッサンディ;ホッブズ ほか)
第5部 合理主義の発展と完成(スピノザ;ライプニッツ;チルンハウス ほか)
第6部 経験主義の体系における認識問題(ロック;バークリー;ヒューム)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
8
従来の哲学史は16世紀以降を地理的に区分し、イギリス=経験論、フランス=合理論、ドイツ=観念論のように近代国家ごとに割り当てる。が、哲学史を概念ネットワークと捉える著者は、経験概念が「内的連続性」の中で形成され、合理主義と「中間項」で連携する場面を注視する。「中間項」とはルネサンスに勃興する精密科学であり、大航海時代に移る中で、印刷メディアによる法則や力を見出す機械の生産と精確な測定概念の普及がそのベースにある。経験論の中の合理の検討や、スピノザ、ライプニッツ、ヒューム等の名はこの網の目の中で同定される。2019/04/19